2020/12/23【スタッフブログ】山内
(C)白井カイウ・出水ぽすか/集英社 (C)2020 映画「約束のネバーランド」製作委員会
これまでいくつか、映画のレビュー・解説記事を書かせて頂きました。
それらを書く上で、一つ決めたルールがございます。
「映画それ自体を、絶対に批判しない」
ということです。
映画を批判している人の批判はさせて頂きましたが、
映画それ自体を批判するくらいなら、口にチャックします。
映画のどこをピックアップして語り、
何に関して口にチャックしているのか、
という行間部分に着目してお読み頂ければ幸いです。
さて、映画『約束のネバーランド』を観て参りました。
原作として名作漫画を実写映画化する際には必ず、
「原作ファンからの批判」がつきものです。
原作に深く感動したあの体験を、
劇場では追体験できなかった人たちです。
本作のポスターには、
「禁断の実写映画化!」
という文言があります。
私が初めて本作に出会ったのは、
Amazonプライムビデオでした。
アニメをきっかけに、漫画を全巻読みました。
本作は魅力的なストーリーや世界観をバックグラウンドに、
メインキャラの3人「エマ」「ノーマン」「レイ」の魅力に引き込まれ、
気がつけば、脱獄の緊張感と喜びや悲しみを共有する4人目のメインキャラに自分がなっている体験をしています。
実写映画化には大きな不安がありました。
しかし、映画本編が始まってすぐ、
浜辺美波演じるエマに心をぐわしと鷲掴みされていました。
彼女の演技は天才的でした。
浜辺エマが圧倒的で、他のキャストが霞んで見えがちですが、
ノーマンも、しっかりノーマンしていました。
ちなみに、映画が始まって最初に登場したのは、
イザベラ(ママ)が飼っている文鳥でした。
原作に文鳥はいなかったはずです。
文鳥の飼育には放鳥(カゴから出して遊ばせること)が必要で、
放鳥時には手や肩に乗りたがる習性?があります。
イザベラが手に文鳥を乗せているのを想像してしまいがちですが、
おそらく、そこまで懐いていなかったのではないかと推測します。
理由その1。
文鳥は飼い主がいると、かなりフランクに鳴き声をあげます。
「ねえ!おい!かまってよ!」といった風に。
しかし、イザベラの部屋の文鳥の鳴き声は他人行儀でした。
理由その2。
ハウスが火事になった際、
イザベラは文鳥のカゴを抱えて逃げるべきでした。
通信機だけを抱えて逃げています。
本編のストーリー的に関係なくとも、
私にとっては文鳥が焼き鳥になっている展開に涙目でした。
そして、やはり触れねばならないのが、
ピーター・ラートリー演じる松坂桃李さんです!
髪型の違和感はハンパじゃないものの、
声や表情、立ち振舞が圧倒的存在感を放ちすぎています。
あれはヤバい。
髪型の違和感は、オーラを放っていると霞んで見えることが証明されました。
心をぐわしと鷲掴みにする浜辺エマの超素敵な演技と、
松坂・トーリーの髪型に違和感を感じさせない演技が観られる、
という2大メリットだけでも映画『約束のネバーランド』を観る価値があります。
約ネバのテーマは
『見せかけの楽園から、脱獄する』
です。
自分が現実世界と認識しているのは、
あくまで自分が得ることのできる情報から作られた世界です。
エマとノーマンはあの日、
里親のもとへ旅立ったと思っていたコニーの死体を発見し、
ここが人肉を出荷する農園だという情報を得て、世界が変わりました。
楽園は、見せかけの楽園だったのです。
けど、情報を得ない限り、楽園は楽園のままです。
見せかけの楽園だと気づいてしまったから、
脱獄という選択肢が生まれました。
このテーマはすごく、現代的だと思いませんか。
今自分がいる場所は見せかけの楽園で、
諦めれば、楽園は楽園のまま死んでいくことができる。
楽園に見せようとしている人がいて、
楽園に閉じ込められたまま死んでほしいと思っている人がいる。
最初の一歩は、情報を得ることです。
テレビや新聞はもちろん、ネットで無料で手に入る情報は、
楽園に見せようとしている人が発している情報です。
これ以上言うと、ミネルヴァさんみたいに殺されてしまいますので、
口にチャックです。
見せかけの楽園から、脱獄しましょう。
今回はひたすら感想記事でした。
お読み頂きありがとうございます。
山内
Written by " yamauchi@ryokuchi.co.jp".