2020/11/18【スタッフブログ】山内

映画『罪の声』をもっと楽しむためのストーリー解説

(C)2020 映画「罪の声」製作委員会

現在公開中の映画『罪の声』は、
「仕事の意義」と「日常の大切さ」
を噛み締めることができる作品でした。

見失っていた仕事の意義を見つける新聞記者の阿久津(小栗旬)と、
奪われてしまった日常を取り戻すテーラーの曽根(星野源)という、
2人の男の成長を描いた物語です。

しかし、実在の「グリコ・森永事件」をモチーフにしたミステリーの演出が印象強く、
相対的に2人の成長物語が薄くなっています。

私は、この2人の成長を軸として本作を楽しんだほうが、
もっとこの映画を楽しめると確信しています。

そこで、本作のミステリーに関わるネタバレを極力控えながら、
もっと成長物語を楽しむためのガイドをしようと思います。

ここに着目して観ると、グッと入り込めますよ!というポイントを抑えていきましょう。


【1】日常を取り戻せ!曽根パート(星野源)

妻と娘と3人で小さな仕立て屋(ブリティッシュ・テーラー)を営んでいた曽根(星野源)。

これからも当然のように、幸せな家庭生活が続いていくことに何一つ疑いを持っていなかった。

しかし、ある時、過去の未解決事件に当時子供だった自分が関わっていた証拠を見つける。

大切な日常を壊さないために、
この事実を忘れようとし、証拠を隠滅しようと葛藤するが、
一度知ってしまった以上、もう元の日常に戻ることはできない。

この葛藤を乗り越え、阿久津(小栗旬)と協力し事件の真実にたどり着きます。

事件の真相が明らかになり、不安が取り除かれ、
奪われていた平穏な日常を取り戻した、曽根(星野源)と娘のラストシーン。

当たり前と思っていた日常の大切さを実感し、
娘を抱きしめ涙を零す背中にはジーンと来るはずです。

ここで娘は日常の象徴として描かれています。

事件という非日常の象徴として描かれていたおもちゃは、
娘の手によって壊されてしまいます。

曽根(星野源)はそれを見て、
非日常が去り、日常を取り戻した実感が湧いたのです。

曽根(星野源)の日常が壊れていくところ、
葛藤と日常への帰還が見どころポイントです。


【2】意義を見つけろ!阿久津パート(小栗旬)

悲しい事件の被害者に取材をしながら、
頭では新聞記事のことしか考えていない自分に疑問を持ち、
以来、記者としての仕事に意義を見失っていた阿久津(小栗旬)。

事件の真実を明らかにすることは、必ずしも被害者のためにならない。

それなら、どうして自分は真実を追うのか。

曽根(星野源)との出会いにきっかけを見出します。

かつて取材に明け暮れた経験から身につけた、
処世術とコミュニケーションスキル。

阿久津(小栗旬)がそれらを発揮できる根底には、
心の優しさや思いやりがあることを曽根(星野源)は見抜きます。

優しさや思いやりがあるからこそ、
記事のためだけにする取材に疑問を持っていた。

このことに気づかされた阿久津(小栗旬)は、
取材を通して被害者の心に寄り添うことが自分の役割だと知ります。

能力(処世術とコミュニケーション)と才能(優しさと思いやり)を生かし、
真実を知りたいが知れば傷を負う立場の被害者に寄り添うことが、自分にはできる。

未解決事件の真相が明らかになったあと、
曽根(星野源)の店を訪れ、スーツの依頼をする阿久津(小栗旬)のラストシーン。

曽根(星野源)に勧められたのは、流行に左右されないブリティッシュスタイル。

しかし、阿久津(小栗旬)がオーダーしたのは、
記者として積極的に流行を追っていきたいというもの。

信頼している曽根(星野源)の勧めを断ってでも、
自身の仕事に向き合っていきたいという決意が込められていました。

本作の阿久津(小栗旬)も同様に、
迷いや葛藤をいかに乗り越えていくかが見どころポイントです。


いかがでしたでしょうか。

以上のポイントを抑えて本作「罪の声」を観ればきっと、
「仕事の意義」と「日常の大切さ」
を噛み締めることができるはずです。

あなたにとっての、仕事の意義は?

阿久津(小栗旬)が見つけ方を教えてくれています。

あなたは日常の大切さを実感できていますか?

曽根(星野源)が感じ方を教えてくれています。


それでは以上、
映画『罪の声』をもっと楽しむためのストーリー解説、
山内でした!

- Written by " yamauchi@ryokuchi.co.jp ".

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