2020/09/21【スタッフブログ】山内

【人はなぜ、家を買うのか?】不動産の心理学③『Life-Force8』

ある朝、男は眩しくも優しい朝の日の光に起こされた。

先日、中古で購入し新たに住み始めた我が家の寝室は、
南東向きの大きな窓からたくさんの朝日を迎え入れる。

ダブルベッドの隣に下着姿で眠る、妻の寝顔を覗き見た。

悩みや恐怖などを一切感じさせない、
本当に幸せそうな顔で眠っているのを見て、
自然と頬が緩み、充実感が胸を満たす。


「一軒家に住みたいね」
という話は前からしていたが、
住んでいたアパートの隣室から聞こえる夫婦喧嘩の声が、
連日連夜、「家を買おう」という決心を高めていった。


もう眠くはない。
せっかく日曜日に自分だけ早く目が覚めたのだから、
愛する妻と別室で眠る小さな子供たちのために、
朝食の用意でもしてみようか。

「パパ、引っ越してから変わったね」

なんて言われそうだけど。

なーに、こんなことをするのは最初のうちだけで、
何十年と住むことになるこの家の、
最初の良い思い出を作っておきたい、それだけだ。


せっかく広くてキレイなキッチンのある家に越したのだからと、
妻の希望もあって、最新の調理家電を引越し祝いに新調していた。

ちなみに、家電購入費は住宅ローンに組み込むことができた。


コーヒー豆のいい匂いに混じって、
オーブンの中でチーズクロワッサンがぱちぱちと焼ける匂いがしてきた。

胃が収縮し、ぐうーっと音が鳴る。


寝室の方から、クローゼットを開ける音が聞こえた。
妻が起きて着替えているようだ。

普段からビシッとおしゃれに着こなして見せる妻も、
家族の前ではゆるっとした普段着で過ごす。

という話を以前、
「普段着もビシッとしてそう!」
と勝手なイメージをする会社の同僚に話したら、
勝手に驚いていたのをふと思い出した。

この同僚には、不動産購入の後輩として色々話を聞かせてもらっていた。

結果的には、
「素敵な奥さんもいながら、俺より良い家を買いやがって」
と文句を言われた。


この不動産購入の先輩に、
まったく知識がない不動産の税金について聞いたことがある。

これまでずっとアパートに住んでいたし
考えたことがなかったため、
家を買ったら色々と税金が増えるのでは?
という不安をぶつけたのだが、

「基本的に、毎年数万円かかる固定資産税だけ」

という回答に拍子抜けした。

固定資産税というのは、
不動産を持っている人にだけ課税される税金だ。

来年の4月から支払っていくことになるが、
「不動産を所有している」ことを
社会的に認められた気がして、そこまで気分は悪くない。

いわゆる「ノブレス・オブリージュ」ってやつだ。


さて、朝食の用意もできた。
愛しい小さな天使たちの目を覚ましに行こうか──。


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さて、おはようございます(笑)。山内です。

お読みいただいたストーリーは、いかがだったでしょうか?

家を買いたくなりましたか?笑
それとも、買って良かったと改めて思いましたか?

今回のテーマは、
「人はなぜ、家を買うのか?」
です。

不動産の心理学と題しているくらいなので、
心理学的な回答をご用意しております。

あくまで私的な答え(仮説)なのですが、
けっこうその答えに自信を持っておりまして(笑)、
おそらくあなたにも納得いただけるのではないかと思っております。


さっそくですが、結論からお伝えしますと、
人間が何かを「買いたい!」と思う動機には、
8つの生物学的な衝動(!)が絡んでいます。


それは、

(1)生き残り、人生を楽しみ、長生きしたい。

(2)食べ物、飲み物を味わいたい。

(3)恐怖、痛み、危険を免れたい。

(4)性的に交わりたい。

(5)快適に暮らしたい。

(6)他人に勝り、世の中に遅れを取りたくない。

(7)愛する人を気遣い、守りたい。

(8)社会的に認められたい。

という、8つです。

これを「LF8(Life-Force8)」と言います。


いかがでしょうか?

すでにお気づきの方には鋭い!とお伝えしたいですが、
上のストーリーは、LF8をすべて含むように意識して書きました。

つまり、(ここからが最大のポイントです!)
家はLF8のすべてを満たす商品である、ということです。

一般的な人(言い方アレですが「=庶民」)が生涯にする買い物の中で、
最も高い商品は間違いなく「家」です。

人が家を買うのは、
LF8のすべてを満たせるからです。
(私的な答えですが!笑)


なんでわざわざ妻をダブルベッドに下着姿で寝せたかと言えば、
LF8の4番(性的に交わりたい)の衝動を刺激するためです。

さすがに不動産連合隊の物件紹介文で、
4番の衝動を刺激する文章は書けないですが(笑)、
少なくともその他の要素を満たすよう意識して書いています。

消費者心理学の有名な言葉ですが、

「人は感情で買い、論理で正当化する」

というのがあります。


感情で商品を手にとり、
論理で自分をレジカウンターに向かわせる、
ということです。

家はさすがに感情では買わないだろう、とお思いでしょうか?

残念ながら(?)、
人は生物学的な欲求には敵いません。

それも、無意識に起こる欲求に対しては、なす術がありません。

感情で「この家を買う!」と決めてから、
論理的に自分を納得させようと内見されるのが、
後から「買います!」と決断される方の特徴です。

冷静に「良い家ですね〜」と仰る方の中で、
実際に買うところまで行く方はほぼいません。


投資目的でなく、消費者として家を買われる方の多くは(私的にはほぼ全員!)、

「今のところに住み続けるよりも、
 この家を買った方が圧倒的にLF8が満たされる」

という結論に感情的にも論理的にも至った、ということです。


ヒット商品の広告を見てみると、
必ずLF8のいずれかを満たす宣伝をしています。

特に、自分がLF8のいずれかを満たす想像をさせるか、
他人が満たしているイメージを見せるかのどちらかです。

原則、LF8のどれか1つを満たしているだけで
広告のパワーは強烈に働きます。


コカ・コーラのCMなら、1番と2番です。

シュワっとした炭酸の刺激で、ゴクッゴクッと乾いた喉を潤すイメージと、
今を楽しく前向きに生きたい!という欲求を刺激するイメージを打ち出しています。
(飲みたくなりましたか?笑)

iPhoneなら、5番と6番でしょうか。

余計な初期アプリがたくさん入った安いアンドロイドの重たい操作感から、
サクサクとノンストレスで分かりやすく快適な操作感のiPhoneに感動させ、

時代を先駆けるアップル社の新型iPhoneを使っている優越感に浸らせる、という(笑)。


ただ、新型iPhoneがまさかの1000万円だったとして、
ローンを組んでまで買いますか?といえば、
誰も買わないでしょうし、

逆に、築3年の中古住宅が1000万円だったとしたら、
たくさんの人がこぞって買おうとするはずです。


原価が違うから当たり前、と思いますか?


それなら、1000万円分のうまい棒だったらどうですか?
ローンを組んでまで買いますか?(笑)
(ちなみに、うまい棒1本の原価は7〜9円ほどらしいです。)


人によって基準は違うと思いますが、
1000万円分のうまい棒よりも、1000万円のiPhoneの方がまだ良いけど、
1000万円のiPhoneよりも、1000万円の築3年中古住宅の方がもっと良くないでしょうか?

ちょっと見方を変えて、
20万円分のうまい棒もまださすがに嫌ですが、
20万円の新型iPhoneなら検討に値すると思います。

この違いは、LF8をどれだけ満たしてくれそうか?
の違いによるものだと心理学的に考えられます。

だから、言い換えれば、
よりLF8を満たすほどより高く売れる、
ということでもあります。

わからないですが、
例えばバーチャル空間上の超理想的な人生に脳だけ移植して、
体は現実空間とともに捨てて、
以降はバーチャル人生だけ無限に生きられる商品、
みたいなものができるとすれば、
もしかしたら家よりも高く売れるかもしれません(笑)。


それでは、今回のまとめです。

人はなぜ、家を買うのか?というと、
以下の8つの生物学的欲求(衝動)をすべて満たしてくれるから。

(1)生き残り、人生を楽しみ、長生きしたい。
(2)食べ物、飲み物を味わいたい。
(3)恐怖、痛み、危険を免れたい。
(4)性的に交わりたい。
(5)快適に暮らしたい。
(6)他人に勝り、世の中に遅れを取りたくない。
(7)愛する人を気遣い、守りたい。
(8)社会的に認められたい。

今回はここまで。

ありがとうございました!



P.S.

前回までは「お部屋探しの心理学」でしたが、
それだと賃貸物件にフォーカスしがちなので、
売買物件も含めて「不動産の心理学」にパワーアップ(?)しました。

このシリーズはまだまだ続きますので、
次回以降もお楽しみに。

それでは、ありがとうございました!


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