2025/01/08NEW 【スタッフブログ】山内 売買
こんにちは、
売買部の山内です。
今回は、そもそも「家を買う」って
どういうことなのか?って話を、
コンビニのおにぎりを買うのと比較して解説します。
今回の話が分かると、
家族や知人にドヤ顔で
「家を買うってな、こういうことやで」
と、おにぎりを食べながら話のネタにすることができます。
さっそく、話のまとめ(いちばん大事な部分)から入りますが、
「家を買う」とは、
家の「所有権」を「登記(とうき)する」ということです。
・・まだ、意味わかめでも大丈夫。
まずは、コンビニでおにぎりを買うシーンを思い出してください。
陳列棚に並ぶたくさんのおにぎりの中から、
新発売の「おかかチーズ」を選択し手に取って、
あなたはレジへ移動します。
パリパリの海苔が美味しそうだ。
早く食べたい。
からといって、お金を払う前におにぎりを開封し、
口に運んでパリパリの海苔を楽しんではいけません。
なぜでしょうか?
おにぎりの「所有権」がまだ、
あなたの元へ移っていないからです。
陳列棚にあるおにぎりを手に取ってレジに並んだ時点ではまだ、
おにぎりの「所有権」は、コンビニにあります。
コンビニがおにぎりを所有する権利を持っているので、
そのおにぎりを勝手に消費し(食べ)てはダメなのです。
小さいお子さんから
「ママー、どうしてお金を払うまで
おにぎりを食べちゃダメなのー?」
と聞かれて
「どうしても!」
と答えてきたのであれば、
「所有権が移転していないからよ!」
と回答を差し替えて、
お子さんに知的教育を施すことも選択肢です。
さて、所有権を持っている物しか、
消費してはいけない、
というのが法律で決まっている以上、
お金を払うまでは、
いくら海苔がパリパリとはいえ
口に運び堪能することは許されないわけですが、
じゃあ、いつの時点から許されるのか?
コンビニのレジで、おにぎり代金150円を払い
店員が受け取った瞬間、
おにぎりの「所有権」はあなたの元へ移転します。
おにぎりの「所有権」をゲットしたあなたには、
おにぎりを「占有する(=好きにする)」権利が生まれます。
おにぎりを食べる権利のほかに、
おにぎりを友達に贈与(プレゼント)する権利もあれば、
おにぎりを食べずに神棚に祀る権利もあるということです。
好きにする権利があるので、
食べずに捨てようと、何をしようと、誰にも文句は言われません。
土地や、土地の上にあって動かせない建物などは
「不動産(=動かせない財産)」といわれますが、
不動産以外のおにぎりなどは「動産」といわれ、
「動産」であるおにぎりは、
「所有権」をゲットした瞬間、
「占有権(好きにする権利)」もゲットするわけです。
・・まだおにぎりの話しかしてないんですが、
どうですか、なかなか深い話でしょう。
「動産」は、お金を払って「所有権」が自分に移った瞬間、
「占有権」もゲットするので、食べ始めても誰にも文句を言われない。
じゃあ、「不動産」の場合は?
というと、
コレが「所有権」をゲットしただけでは、
住み始めると文句を言われることがあるんです。
不動産は、土地や建物にそれぞれ番号がつけられていて、
その番号と物件詳細が「法務局」という
国の情報センター的な場所で管理されています。
この「法務局」に、
『この家の所有権は、私に移りましたよ~』
と届出をしないと、
『私が所有者です!』
という主張が認められません。
この届出のことを「登記(とうき)」と呼びます。
おにぎりの所有者を証明する情報センターは存在しませんが、
土地や建物の所有者を証明する情報センターはちゃんと存在していて、
その情報センター「法務局」に照会をかけることで、
「この家は〇〇のもの(所有権がある)」
と証明する証拠(登記事項証明書)が手に入ります。
「おにぎりを買う」
というのは、
レジでお金を払って、おにぎりを受け取った瞬間に
おにぎりの「所有権」と「占有権」を手にすることでした。
①レジでお金を払う
↓
②おにぎりを受け取る
という2ステップです。
「家を買う」
というのは、
「売買契約書」に名前を書いて、お金を払い、
家の鍵を受け取り、所有権を登記した瞬間に、
家の「所有権」と「占有権」を手にすることです。
なんか急に複雑ですが、
おにぎりのように噛み砕いていきます。
①「売買契約書」に名前を書く
↓
②お金を払う
↓
③鍵を受け取る
↓
④所有権を登記する
という4ステップが必要です。
急に現れた
①売買契約書
ですが、
おにぎりなど動産と違って、
不動産のように高額な取引になると、トラブルが心配なため、
ちゃんと書類で「買いますよ」「売りますよ」と証拠を残さないといけないんです。
というのが、法律で決まっています。
おにぎりの売買契約は、
お金を払って、おにぎりを受け取るだけで成立するのですが、
家の売買契約は、
契約書をちゃんと交わさないと成立しないんですね。
で、
①契約書を書いて、②お金を払い、③鍵を受け取ったとしても、
④の登記まで完了しないと安心はできません。
こんなパターンがあるからです。
名前「家尾 売男(いえを うるお)」さんが、
自分の家を「売るお!」と言って、
令和7年1月9日(木)に、
名前「俺我 買男(おれが かうお)」さんと
売買契約書を交わし、売買代金1,000万円を支払ってもらい、
家の鍵を渡した、としましょう。
「買男」さんは無事に良い家を買うことができて
一件落着の助、さあて、引越すでござると思ったところでトラブル発生!
なんと、
令和7年1月10日(金)に、
名前「私我 買女(わたしが かうね)」さんと
売買契約書を交わし、売買代金1,300万円を支払ってもらい、
隠し持っていたもう1本の鍵を渡していた、のです!
300万円も高く買ってくれるなら、
と売男さんは買女さんに「売るお!」と言ってしまったようです。
買男さんは、300万円安いとはいえ、
1月9日に契約書を交わし、お金も払って鍵をもらっている!
だから俺が「買うお!」と主張します。
一方、買女さんは、翌日の1月10日に契約書を交わし、
お金を払って鍵ももらっている!
だから私が「買うね!」と主張します。
・・買男さんと買女さんの2人の主張、
一体、どちらの主張が勝つのでしょうか?
ちょっとひっかけ問題にしてみましたが、
買男さんの契約書の日付が早い、というのは実は関係なく、
先に家の「所有権」を「登記」したほうの主張が勝つのです。
おにぎりは、実際に所有する(占有する)ことで「所有権」を主張できますが、
家は、「所有権」を「登記」することで主張できるようになります。
おにぎりは買ったら食べちゃっても誰にも文句は言われませんが、
家は買って住み始めても、別に買って先に「登記」した人から文句を言われるのです。
・・この違い、面白くないですか?
まあ大体の人には、あまり面白くないかもしれませんが
「違い面白い!」と思う人には
法律的なセンスがあるかもなので、
どうぞ今後とも私のブログを宜しくお願いします。
さて、おにぎりから始まり、だいぶ深い話になったのですが、
ここまでの話をまとめると、
======== ↓ まとめ ↓ =======
「家を買う」とは、なんぞやか?
といえば、
家の「所有権」を「登記(とうき)する」こと。
であり、
「登記」をしないと、
先に「登記」した誰かから
「あなたは買ってない!」と文句を言われる、かも。
======== ↑ まとめ ↑ =======
という話でした。
ここまでお付き合い頂き、
ありがとうございました。
それでは。
~法的に踏み込む追伸~
ちなみに・・、
ここからは一歩踏み込んで、
売男さんと買男さんたちの後日談です。
買男さんは、交わした売買契約書を元に、
「売男さんの契約違反」を主張し、
契約を解除するとともに、違約金を請求しました。
それに対し、
売男さんは、売買契約書を元に、
違約金として200万円を買男さんへ支払い、
売男さんと買男さんの問題は解決となりました。
家は1個(1軒)しかないのに、
2人に売るってどういうこと?って感じかもですが、
売男さんが2人と別々に交わす売買契約は法的にOKです。
(※「家の所有権を渡す約束」を売っているにすぎず、
約束を交わすのは法的に自由だからです。@契約自由の原則)
不動産の売買契約書では、
・売主は「家の所有権を渡すこと(=義務)」
・買主は「売買代金を払うこと(=義務)」
を約束していますが、
所有権を渡せなかった場合や、
売買代金を払えなかった場合に応じて、
違約金(=ペナルティ)として大体、
売買代金の10~20%の違約金が決められています。
今回、売男さんは1,000万円で買男さんに家を売りましたが、
買女さんが1,300万円で買ってくれると言うので売ってしまい、
買男さんに違約金として200万円を支払っても
差し引き100万円はプラスになる、という状況だったわけです。
現実にも十分ありえるケース、ってことです。
(実務上はほぼないですが・・。)
そんなこんなで、以上、おにぎり解説でした。
ありがとうございました。