2021/01/16【スタッフブログ】山内

『キック・アス』に学ぶ、”映画”を観るべきたった30億の理由。

出典:Amazon


『キック・アス』をご存知でしょうか。

前回までに解説した映画『罪の声』や『時計じかけのオレンジ』は、
10人中4人くらいは、正直あまり楽しめないんじゃないか、と思います。

実は、私もそのうちの1人でした。

だからこそ、工夫して観る必要があったのです。


しかし、『キック・アス』は、10人観れば10人が楽しめる作品です。

そんな映画あるか!という心の声が聞こえてきそうですが、
楽しめない人は『キック・アス』という映画に辿り着かないため、ノーカンです。


映画を観るには、2時間ほど自分を椅子に拘束する必要があります。

この拘束に対する抵抗感を乗り越えることが、
映画を観る1番のハードルだと思います。

そんなハードルを乗り越えて、観た映画にどれだけ感動したとしても、
時間が経つにつれて次第に忘れていってしまいます。

そんな映画の感動を忘れずに、
自分の中に残す方法はあるのでしょうか。


結論から述べます。

映画の感動を、自分の中に残すことはできません。

せっかく抵抗を乗り越えて、
2時間も自分を拘束したあの時間は無駄だったのか?


無駄にしない方法が、一つだけあります。

映画から受け取ったことを、行動に移すことです。

映画を観て感動した、とよく言いますが、
この表現、実はあまり正確ではありません。

正しくは「映画に感動させられた」です。


映画を観て感動することは受動的な行為です。

そのため、時間の経過とともに自分の中から消え去っていきます。

逆に、映画に触発されて、実際に行動に移したときは、
そこで感じ得たものは自分の中に残り得ます。

つまり、主体的な行為から得たものしか残らないということです。


本作『キック・アス』の主人公には、
受動的な行為を、主体的な行為に変えるセンスがありました。


ヒーローに憧れる、という受動的な行為を、
ヒーローになってみる、という主体的な行為に変えます。

不良に絡まれて逃げる、という受動的な行為を、
逆に立ち向かって行く、という主体的な行為へ変えます。

そして最後には、
ヒーローに助けられる、という受動的な行為を、
逆にヒーローを助ける、という主体的な行為へと変えてみせるのです。


行動を変えたからといって、必ずしも現実が変わるとは限りません。

行動を変えることが、望む結果に直結しているとも限りません。

むしろ、大抵の場合は、予想外の副産物を得るだけに終わってしまいます。


副産物を得たから、行動に移してよかったね、と言えるのでしょうか。

それが、行動に移したほうがいい理由なのでしょうか。

もちろん、違います。


主体的な行動に移すことで、
その人の情報空間が変わります。

今までしなかった行動をすることによって、
今まで得られなかった情報が得られる、ということです。


いきなりですが、問題です。

映画には必ず登場する人物なのですが、
今までしなかった行動をして、
今まで得られなかった情報を得る人物とは誰でしょうか?

・・・もちろん、主人公です。

主人公の人生が変わっていくのを観て感動したのに、
自分の人生は1ミリも変わっていかないのは、
情報空間が書き換わっていないからです。

逆に引越や転職をすると人生が変わるのは、
環境が変わり、情報空間が書き換わるからです。

情報空間が書き変わることで、
自然と自分自身も変わっていきます。

情報空間を書き換える一番カンタンな方法が、
初めての行動に移してみることなのです。


畢竟、映画を観て行動に移さないのは、観ていないのと同じです。

観る前の自分と、観た後の自分。

そこに根本的な違いはありません。

気分や体調は違えど、
ホメオスタシスがはたらく範囲内です。

生物学的なホメオスタシスを越えていくには、
情報空間を変えていくしかありません。


その上で私は思うのです。

映画は、素晴らしい媒体だと。

映画ほど、行動に移すきっかけに満ちた媒体はないからです。

特に本作のような10人中10人を楽しませてくれるような映画は、
観た人全員に行動するエネルギーを提供してくれます。

それを感情的に発散するだけで終わってしまうのか、
行動に変換し、情報空間を変えていけるのか。


ちなみに、本作『キック・アス』は、製作費に30億円ほどかかっています。

アメリカでは、製作費に100億円、200億円と掛けることもザラなので、
『キック・アス』はたったの30億円です。

たったの30億円ですが、
TSUTAYAに行けばたったの100円(!)で観ることができます。

たったの100円、たったの2時間で観れるのに。

映画を創るためにかかった、お金と時間と労力。

それに対し、
映画を観るためにかかる、お金と時間と労力。

比べると大変コスパが良く見えますが、
行動に移さなければ、コスパはマイナスです。

映画を観て行動に移していく場合に限り、
映画という媒体の異常なコストパフォーマンスが発揮されるのです。


同じような毎日を送ってしまっているのは、
情報空間が書き換わっていないからです。

同じ毎日を送る主人公の映画はありません。

映画を観るべき理由は、そこにあります。


じゃあ何を観ようか、と迷ったならば、
本作『キック・アス』はいかがでしょうか。

主人公が、主体的な行動に変えていく背中を見せてくれます。


今回は、ここまでです。
ありがとうございました。

- Written by " yamauchi@ryokuchi.co.jp ".

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